IW612 Wi-Fi 6トライラジオSoCは、2024年に市場に投入されました。Wi-Fi、Bluetooth/Bluetooth Low Energy、Threadをサポートし、成長を続けるMatterエコシステム(スマートホーム・ハブ、コントローラ、スマート・スピーカーなど)向けのThreadボーダ・ルータ製品を実現します。Matterは、Zigbeeなどのレガシーおよびその他のスマートホーム・テクノロジやエコシステムもサポートしています。
現行世代と次世代のスマートホーム・ネットワークの橋渡しをするブリッジの開発
Connectivity Standard Alliance(旧Zigbee Alliance)が2005年に立ち上げたZigbee規格は、高い成熟度と幅広い導入実績を誇っています。実装時のコード・メモリ・フットプリントがコンパクトで、RFプロトコルのオーバーヘッドが削減されているため、無線通信時間を短縮し、バッテリ寿命を延ばすことができます。また、高密度RFネットワーク環境下において、Zigbeeプロトコルのスケーラビリティを向上させます。
IEEE 802.15.4無線機能を搭載したIW612のハードウェアは、Zigbeeをサポートするために必要なすべての機能を備えており、ThreadとZigbeeネットワークで同時に動作することもできます。これらのハードウェア機能を搭載しているため、次のステップとして、このトライラジオ・チップセットの機能を拡張してZigbeeをサポートするのは当然のことでした。
トライラジオIW612のシステム上の利点を活かしたNXPのZigbeeソリューションは、他の重要なMatterテクノロジとのクラス最高の共存を実現しており、Matter to Zigbeeブリッジ製品やZigbeeゲートウェイの構築に最適です。
スケーラブルな無線コプロセッサ・アーキテクチャの選択
Zigbeeソリューションのスケーラビリティを最適化するために、無線コプロセッサ方式を選択し、MACスプリット・アーキテクチャを実装しました。IEEE 802.15.4のPHY層およびMAC層はIW612のファームウェアで処理され、Zigbeeスタックはより広いメモリ・リソースと高い処理能力を備えたLinuxベースのMPU(NXPのi.MXアプリケーション・プロセッサなど)で実行されます。
こうすることで、MPUは、ネットワーク・サイズにほとんど制限のない大規模なネットワークでZigbeeコーディネータまたはルータとして動作することができます。
図1 - IW612 Zigbee MACスプリット・アーキテクチャ ブロック図をダウンロードすると、拡大図がご覧いただけます。
スケーラブルで広く導入されているZigbeeスタックの採用
クラス最高の相互運用性を実現するために、IW612 Zigbeeソリューションは、プラットフォームに依存せず、広く導入されているZigbeeスタックであるZBOSSをベースにしています。ZBOSS Open Initiative (ZOI) によって開発および管理されているZBOSSは、Linuxホスト・プラットフォーム上で実証済みの成熟したソリューションです。
NXPは、IW612 Wi-Fi 6トライラジオ・ソリューションにZBOSS Zigbeeスタックを採用しています。ZOIによる詳細をご覧ください。
最新の規格に準拠
IW612は、Zigbee R23 ZCP準拠の認定プラットフォームであるため、NXP MCX W71、MCX W72、K32W0x、JN51xxなど、Zigbee 3.0準拠のすべてのデバイスと相互運用できます。
また、他のZBOSSベースの製品とも事実上相互運用することが可能です。
サポートされるプラットフォーム
NXPのZigbeeソリューションは現在、i.MX MPU + IW612無線コプロセッサでサポートされています。また、インダストリアル/IoTに最適化されたIW610 Wi-Fi 6ソリューションでも利用可能になる予定です。
迅速なプロトタイピングのために、u-blox IW612ワイヤレス・モジュールを搭載したNXP i.MX93 FRDMボードを使用できます。
FRDM-IMX93(u-blox IW612モジュールを搭載)
四半期ごとのソフトウェア・アップデートは、meta-nxp-connectivityリリースの一部として提供されます。
開発者は、meta-nxp-connectivityを使用して独自のi.MX Linux BSPイメージを構築し、Yoctoを使用して独自のZigbeeアプリケーションを内部に組み込むことができます。
リリースは、NXPのGitHubから直接取得します。関連するYoctoレシピを確認してください。
クラス最高のマルチ無線共存
すべての無線を1つのチップセットに統合したIW612ソリューションは、専用のハードウェア・アクセラレータを使用して、クラス最高のシームレスなマルチ無線共存を実現するために最適化されています 。Bluetooth LEのコミッショニングに加え、共用アンテナを使用するZigbeeやThreadと並列に集約されたBluetooth LEセンサに対応できるように調整されています。また、共存性能が最適化されており、Zigbee/ThreadやBluetooth LEへの影響を最小限に抑えつつ、2つ目のアンテナでWi-Fiにも対応できます。
デュアルPAN対応
新しいMatterエコシステムでレガシーZigbeeを完全にサポートするために、IW612ソリューションには、1つのチップセット内で必要なすべてのコネクティビティを提供するデュアルPAN機能も備えています。
- 低消費電力/低データ・レートのMatter通信用のThread
- コミッショニングまたはセンサ集約用のBluetooth LE
- 高データ・レートのMatter通信用のWi-Fi
- レガシーの低消費電力/低データ・レートのデバイス用のZigbee
IW612は、強力な機能を備えているため、ZigbeeコーディネータまたはルータとZigbee to Matterブリッジ・デバイスへのThreadボーダ・ルータとして同時に動作するように実装できます。